[更新 ]

定例研究会  講演リストと要旨


[ 評価問題研究部会のホームページ]
収録事項の誤りや ご意見などがございましたら, eval-webmaster @fz.dis.titech.ac.jp までお知らせ下さい.


★定例研究会 講演リスト (講師 敬称略)
(講演タイトルをクリックすると要旨へジャンプします)
一番最近の定例研究会
第 1 回研究会(平成 5 年 6 月 12 日, 工学院大学)
確からしさの言語的表現のキャリブレーション
小橋康章(ハイウエイ開発(株))
効用理論の最近の話題
中村豊(筑波大学 社会工学系)

第 2 回研究会(平成 5 年 9 月 11 日,工学院大学)
(日本ファジィ学会 ノンエンジニアリング・ファジィ研究会と共催)
乗り物酔い,乗心地を測る
細田龍介(大阪府立大学)
論理と尺度論的立場から眺めた判断矛盾
岡雄三(工学院大学)

第3回研究会(平成 5 年 12 月 11 日,横浜ランドマークタワー)
(日本ファジィ学会 関東支部と共催)
官能検査/官能評価/感性評価
長沢伸也(亜細亜大学)
官能評価用語に関する最近の話題
池山豊(コーセー研究所)

第 4 回研究会 (平成 6 年 3 月 10 日 〜 11 日,なにわ会館)
ファジィ推論とエキスパート・システム研究部会と合同で,
言いたい放題合宿合同ワークショップを開催.
特別講演 "A Theory of Evaluation Applied to Human-Environment Systems "
森田矢次郎(拓殖大学)
遺伝的アルゴリズムによるファジィ規則の生成と そのシーソー上のボールの位置制御への応用
水本 雅晴,郷原 雄一郎(大阪電気通信大学)
人工生命的手法によるファジィ知識獲得
古橋武(名古屋大学)
次元の異なる特性値の場合のファジィ積分による総合評価
高萩 栄一郎 (専修大学)
ファジィ規則が疎らな場合のファジィ推論
水本雅晴,下田清廣(大阪電気通信大学)
"X is x0", "X is A", and "x0 is A"
塚本弥八郎(名城大学)
POSデータのファジィ性について
椎塚久雄(工学院大学)
非線形システムの近似的線形化による軌道追従制御
三好哲也(大阪府立大学)
宅地開発における樹木活性度の評価
松下裕(清水建設)

第 5 回研究会(平成 6 年 6 月 18 日(土),工学院大学)
心理判断とファジィ
山下利之(桐蔭学園横浜大学)
評価における心理的性質について
竹村和久(筑波大学社会学系)

第 6 回研究会(平成 6 年 9 月 17 日(土),工学院大学新宿校舎)
ファジィ積分特集
特別講演「メンバーシップ関数と評価
鈴木久吉(千葉工業大学)
意識調査のためのファジィ評価について
北垣郁雄(群馬職能短大)
最大値、平均値、最小値の拡張としてのファジィ測度とショケ積分
高萩栄一郎(専修大学)
意志決定モデル推定への AHP と Fuzzy 積分の統合利用
鷲尾 隆(三菱総合研究所)
属性の相関とファジィ測度の非加法性
神原 浩(清水建設)

第 7 回研究会 (平成 6 年 11 月 17 日 (木), 18 日 (金),富山宇奈月温泉)
ファジィ推論とエキスパート・システム研究部会, 日本ファジィ学会北信越支部と合同で, 言いたい放題合宿合同ワークショップを開催.
ファジィ推論とマムダニの含意
中島 信之 (富山大学 経済学部)
あいまいデータをもとにしたファジィルールのチューニング手法
加藤康記,小杉正貴,高木繁則 (インテック・システム研究所AI研究部)
中央値・平均値・区間中央値の中間の評価
高萩栄一郎 (専修大学)
ファジィブロックを用いたプリント基板上の部品配置
行松徹,古橋武,内川嘉樹 (名古屋大学工学部)
あいまいさを伴う知識を有効利用可能なプランニングアーキーテクチャ
愛須英之,稲垣泰弘,小野修一郎,杉江弘,畝見達夫 (LIFE)
あいまい環境での高速かつ確実な強化学習アルゴリズムの検討
小野修一郎,稲垣泰弘,愛須英之,畝見達夫 (LIFE)
ファジィ事例ベース推論機能とファジィ学習機能について
井上敦,田野俊一,岡本渉,岩谷敏治,藤岡亮介 (LIFE)
ベイズ理論を利用した基本確率割り当ての結合の一方法
中島恭一,高木昇,松永均 (富山県立大学)

第 8 回研究会(平成 7 年 2 月 18 日,工学院大学)
顔の印象を探る
原島 博 (東大)
しきり人には誰がなる
林 理 (東工大)

第 9 回研究会(平成 7 年 7 月 1 日,専修大学神田校舎)
テーマ「企業におけるユーザビリティ評価の実践」
富士ゼロックス:FAX
田丸 恵理子(富士ゼロックス システム・コミュニケーション研究所)
ソニー:アナログ時計つきラジカセ
羽太 玲子(ソニー株式会社 プロダクツCS推進部 商品テストラボ)

第 10 回研究会(平成 7 年 9 月 9 日 (土),三菱総合研究所)
推論における図形の役割  ― デバイスの挙動予測と幾何の証明を例に ―
元田 浩 ((株) 日立製作所基礎研究所)
『公理的測定論』について
吉野 諒三 (文部省統計数理研究所)

第 11 回研究会(平成 8 年 7 月 13 日 (土),工学院大学)
ネットワーク組織としてのSMAP ― 現代アイドル工学 '96
稲増 龍夫(法政大学)

第 12 回研究会(平成 8 年 9 月 14 日 (土),清水建設(株)和泉研究室)
建設におけるリスク評価  ― 地震リスクマネジメント手法を中心にして ―
水谷 守 (篠塚研究所)


第 13 回研究会(平成 9 年 1 月 25 日 (土),専修大学神田校舎)
コンジョイント分析の理論と応用  :『商品企画七つ道具』より
岡本 眞一 (東京情報大学)


第 14 回研究会 (平成 9 年 7 月 12 日 (土),専修大学神田校舎)
「平均値の意味と構造」
柳井 浩(慶応義塾大学工学部管理工学科)
参考資料:
柳井浩,平均値の意味と構造 I, II, オペレーションズ・リサーチ,1997 年,3 月号 pp. 37-42,4 月号 pp. 46-50.

「ファジィ理論における平均演算」
高萩栄一郎(専修大学商学部)


第 15 回研究会(平成 9 年 11 月 29 日 (土),専修大学神田校舎)
「消費者の選択行動の確率モデル ― 非補償型意思決定モデルを中心に ― 」
濱岡 豊(慶應義塾大学 商学部)
参考資料:
濱岡豊,古川一郎,方平秀貴 「非補償型(最尤満足化)モデルによる広告への態度の分析」 日経広告研究所報,174 号 (Aug.-Sep.) pp. 18-23.

「ラダリング調査による消費者研究の現状」
丸岡 吉人((株)電通 マーケティング統括局)


第 16 回研究会(平成 11 年 11 月 20 日 (土),専修大学神田校舎)
NGO 活動の評価
大河内 秀人(アーユス:仏教国際協力ネットワーク 理事)
長畑  誠 (シャプラニール=市民による海外協力の会 海外事業課長)


第 17 回研究会(平成 12 年 5 月 13 日 (土),専修大学神田校舎)
バリアフリーへの実践的な試みと評価
筑波技術短期大学  加藤  宏
  同じ内容が こころ Web に掲載されています
日本電気      北風 晴司
  ご講演の スライド(PowerPoint) をいただきました.


第 18 回 研究会(平成 12 年 7 月 28 日 (金),工学院大学新宿校舎)
「東海大学の授業評価の試み」
安岡高志(東海大学)


第 19 回研究会(平成 13 年 3 月 21 日 (水),専修大学神田校舎)
「魅力工学 この 10 年」
朝野 煕彦(専修大学)
備考: 魅力工学サイバーラボラトリ


第 20 回 研究会(2002 年 3 月18 日 (月),筑波大学 東京キャンパス)
「生活者に受容されやすいエコロジー行動」
筑波大学 西尾チヅル
関連書籍: 西尾チヅル著 「エコロジカル・マーケティングの構図」 有斐閣 (1999)
「環境に優しい商品の市場性」
立命館大学 長沢伸也
関連資料 「リサイクルは無駄です


第 21 回 研究会(2002 年 11 月 8 日 (金),9 日 (土), 北九州国際会議場)
「インタラクティブ進化計算:進化的計算論の最適化能力と人間の評価能力の融合」
九州芸術工科大学 高木英行
「ファジィCS(顧客満足度)分析」
名城大学 塚本弥八郎


第 22 回 研究会(2003 年 11 月 28 日 (金),29 日 (土), 関西大学100周年 記念館)
「感性システムおよび情動システムの研究事例紹介」
立命館大学 亀井且有


第 23 回 研究会(2005 年 2 月 19 日 (土), 関東学院大学 KGU 関内メディアセンター)
「人にとっての 「使いやすさ」 とは何か: 高齢者研究から考える」
法政大学 原田悦子


第 24 回 研究会(2006 年 3 月 3 日 (金), 専修大学神田校舎 7号館 774)
「不良債権の評価問題と金融行政の不確実性」
専修大学商学部 小藤康夫先生
「インターネットに不正なホストは何台あるか?」
東海大学情報理工学部 菊池浩明先生


[このページのトップ]

★定例研究会講演要旨
第1回研究会(平成5年6月12日, 工学院大学)

「確からしさの言語的表現のキャリブレーション」
小橋康章(ハイウエイ開発(株))
経済予想記事を用いた,文末の言葉(「だろう,と思う」等)から受ける確からしさの 印象(実験では確率値)と,予想記事の的中率との比較実験を中心に議論され, 経済予想記事には的中率よりも高い確からしさの印象を与える文が比較的多いこと等が 報告された.
配布資料: 小橋 康章,難波 和明, 確からしさ判断の言語的表現の改善に向けて, 日本認知科学会第10回大会発表論文集, 1993, 78-79.

「効用理論の最近の話題」
中村豊(筑波大学 社会工学系)
非線形効用関数を中心に様々な公理系の紹介や解説がなされた. 特に,期待効用理論に対する反例を解消する公理系として, 加法的確率の非線形変換による期待効用や, 非加法的主観確率によるChoquet積分を用いた期待効用などが紹介された.
関連文献: 中村 豊, 合理的意思決定の逆説と効用分析, BASIC 数学, vol.25, No.3 (1992) 59-63.

担当幹事 室伏 俊明 (電気通信大学)  [講演リストの元の場所] [目次]


第2回研究会(平成5年9月11日,工学院大学)
(日本ファジィ学会 ノンエンジニアリング・ファジィ研究会と共催)

「乗り物酔い,乗心地を測る」
細田龍介(大阪府立大学)
乗り物酔い発症の全てが解明されているわけではない。 そこで,身体に加わる刺激と生理的,心理的状態の関係を明らかにするために行った, 計測,デ−タの解析,評価について述べられた。 計測についてはまだ確立されたものがないが,解析,評価に関しては ファジィ理論の適用が望まれることが述べられた。
配布資料: 細田 龍介, 乗り物酔いの発症機構解明へのアプローチ, 関西造船協会 らん 第20号 (1993) 7-16.

「論理と尺度論的立場から眺めた判断矛盾」
岡雄三(工学院大学)
物を評価するとき,人間は判断矛盾を起こすことがよくある。 その判断矛盾を論理学と計測尺度論的観点からその基本的態度についての解釈が 述べられた。 また岡氏が研究されてきた三すくみの問題について言及された。

担当幹事 鬼沢 武久 (筑波大学)  [講演リストの元の場所] [目次]


第3回研究会(平成5年12月11日,横浜ランドマークタワー)
(日本ファジィ学会 関東支部と共催)

「官能検査/官能評価/感性評価」
長沢伸也(亜細亜大学)
食品・化粧品や自動車など官能品質や感性品質が重要なウェイとを占める商品の 評価方法について述べられた. 特に,これまでの官能評価の枠組みを感性評価として再構築する試みを提案された.

「官能評価用語に関する最近の話題」
池山豊(コーセー研究所)
官能評価を日常的に活用している企業の立場から, プロファイルを調査するためのSD法で用いる官能評価用語の選定に関する問題を とりあげ,経験的に盲信して利用している可能性の高い評価用語について再考し, 今後の官能評価のあるべき姿について述べられた.

担当幹事 長沢 伸也 (亜細亜大学) [講演リストの元の場所] [目次]


第4回研究会 (平成6年3月10日〜11日,なにわ会館)
ファジィ推論とエキスパート・システム研究部会と合同で,
言いたい放題合宿合同ワークショップを開催.

特別講演 "A Theory of Evaluation Applied to Human-Environment Systems"
森田矢次郎(拓殖大学)
評価をある種の計測行為としてとらえた上で、 評価行為のモデル化の方法と今後の展望についての解説があった。 まず、 人間の熱環境の評価における問題点として、 環境の測定結果の数値化表現は厳密な印象を与えるが、 その根拠はあいまいな場合があること、 環境をモデルで説明できない局面が 存在することを挙げた上で、 評価尺度にファジィを導入することを提案した。 次に、 従来の4つの尺度 (比例尺度:ものさし、 間隔尺度:摂氏などの温度、 順序尺度:ファジィメンバシップ、 名義尺度:名前) 以外の 尺度を検討し、 尺度自身の評価のために、 物の二項関係を尺度で比較評価した結果を グラフ表現する手法を提案した。 最後に、 最近の評価モデルの研究例が紹介された。

「遺伝的アルゴリズムによるファジィ規則の生成と そのシーソー上のボールの位置制御への応用」
水本 雅晴,郷原 雄一郎(大阪電気通信大学)
シーソー上のボールの位置制御に 遺伝的アルゴリズムによるファジィルール生成の有効性を検討した結果、 重み付きファジィルールに本アルゴリズムを適用すれば有効性が高いことが 報告された。

「人工生命的手法によるファジィ知識獲得」
古橋武(名古屋大学)
ファジィルールの記述法、 獲得法にファジィ知識表現の仮説と人工生命的な見地からの進化の仮説を 導入することで、 大規模ファジィシステムの構築が容易になることが解説された。 ロボットの障害物回避制御を例題に手法の有効性も報告された。

「次元の異なる特性値の場合のファジィ積分による総合評価」
高萩 栄一郎 (専修大学)
ショケ積分モデルで総合評価値を算出する場合に、 評価項目の特性値に対する評価値の割り当て、 すなわち、 被積分関数の設定に対して、 必要な性質の解説が荷重和モデルの場合と比較して行なわれた。

「ファジィ規則が疎らな場合のファジィ推論」
水本雅晴,下田清廣(大阪電気通信大学)
ファジィ推論において、 ルールが疎らな場合、 どのファジィルールにも当てはまらない範囲が存在し、 推論時の重ね合わせが不能になる。 この問題を回避するために、 Koczyは、 補間型推論法を提案している。 本研究では、 Koczy推論法の問題点を実験で実証し、 それを改善する新たな 補間型推論法を提案して、 液面制御モデルへの応用により 良好な結果を得た。

「"X is x0", "X is A", and "x0 is A"」
塚本弥八郎(名城大学)
ファジィ論理における「述語」「命題」という言葉の使用における意味の不一致や、 従来の論理学におけるこれらの言葉の使用との不整合を指摘し、 問題提起を行なった。

「POSデータのファジィ性について」
椎塚久雄(工学院大学)
POSデータの有効利用において、 現状では有効な統計処理手法が確立されていないこと、 POSデータそのものの統計的代表性の問題を指摘した上で、 ファジィ構造モデルの導入を提案し、 市場構造分析における行列表現にファジィを導入する手法を提案した。

「非線形システムの近似的線形化による軌道追従制御」
三好哲也(大阪府立大学)
非線形システムの制御において、 Radial Basis Function (RBF) ニューラルネットを用いて 近似的に線形化し、 従来の線形制御法により制御パラメータを求め、 逆変換により元の非線形システムの制御パラメータを得る手法の提案を 行なった。 この手法をフィードバックによる三輪車両の目標軌道追従に適用した。

「宅地開発における樹木活性度の評価」
松下裕(清水建設)
宅地開発における自然への影響を推定する数理モデルを同定する場合、 評価尺度として樹木活性度が利用される。 従来の数量化第I類では、 集合間相互作用が反映できないこと、 属性数と従属変数の関係がわかりにくいなどの問題点がある。 本研究では、 多重線形効用関数を拡張した新たなファジィ積分モデルを構築した。 また、 この手法の有効性を確認した。

[講演リストの元の場所] [目次]


第5回研究会(平成6年6月18日(土),工学院大学)
「心理判断とファジィ」
山下利之(桐蔭学園横浜大学)
人間の心理判断を分析し支援するためのファジィ理論を用いた方法論が考察された. また,種々の心理判断に関する実験や調査の成果の報告, ファジィ理論を応用した進路選択支援に関する研究成果の報告等がなされた.

「評価における心理的性質について」
竹村和久(筑波大学社会学系)
評価における心理的性質がファジィ測度論やファジィ集合論によって どの程度表現され得るのかについて,実験や調査の結果をもとに考察された. また,言語や相互行為の観点から,人間の評価行為の問題が考察された.

担当幹事 山下利之(桐蔭学園横浜大学),竹村和久(筑波大学社会学系)
[講演リストの元の場所] [目次]


第6回研究会(平成6年9月17日(土),工学院大学新宿校舎)
ファジィ積分特集
特別講演「メンバーシップ関数と評価」
鈴木久吉(千葉工業大学)
工学や社会科学の分野で有効性を発揮しているフ ァジィ集合の実体は何であるか、またその統一的な 理論づけは可能かという観点から講演が始められた。 最初に、ファジィ集合の数学的対象として合意の概 念があることが指摘され、これに基づくファジィ集 合の構成方法が解説された。内容的には、合意の定 義、メンバーシップ値の割当て方、ファジィ集合の 定義という順で解説がなされた。次いで、応用例数 題に本理論を当てはめることにより、合意によりど のようにあいまい性が定式化されるかが示された。 数学的内容が多かったが、具体例が多く、講演者の 考え方が会場にスムーズに伝わった。

「意識調査のためのファジィ評価について」
北垣郁雄(群馬職能短大)
主観的評価問題では相関のある属性が設定される ことが多く、ファジィ測度の構成に考慮を要する。 その解決方法としてρファジィ測度が提案された。 予め相関の原因が判っている例題を設定し、ρファ ジィ測度が評価過程と整合的であることが示された。 今後、さらに具体的な評価問題への適用を通じて、 有効性が示されることを期待したい。

「最大値、平均値、最小値の拡張としてのファジィ測度とショケ積分」
高萩栄一郎(専修大学)
主観的評価過程のモデル化では、意思決定者の評 価態度を捉えた上でファジィ測度を設定できると都 合がよい場合が多い。λファジィ測度に話を限定し て、パラメータλと意思決定者の評価態度の対応が 説明され、属性の重要度を取り入れてファジィ測度 を構成する方法が幾つか示された。今後、評価問題 への適用に対して、どの方法が優れているかの検証 が待たれる。

「意志決定モデル推定へのAHPとFuzzy積分の統合利用」
鷲尾 隆(三菱総合研究所)
暗黙因子(認知されていない属性)の存在は評価 過程の構造を大きく変える可能性があることが問題 にされ、ファジィ測度の非加法性を利用した AHPの 属性設定に関するアルゴリズムが提案された。具体 的な事例を通じて、本アルゴリズムにより暗黙因子 が発見される過程が示された。会場より、”本質的 に非加法的な因子があれば AHPの整合係数が悪くな る”とすることの根拠について質問があった。

「属性の相関とファジィ測度の非加法性」
神原 浩(清水建設)
ファジィ測度に優加法性が生じる具体的な評価問 題が紹介され、ベクトル値関数のファジィ積分によ りその原因が考察された。結論として、属性の相関 のうちあるタイプのものはファジィ測度の非加法性 を引き起こすことが確認された。今後、評価過程の モデル化に対して、どこまでを属性の相関とし、ど こまでをファジィ測度の非加法性として表すかを明 確に示す必要があるであろう。

担当幹事 松下 裕(清水建設) [講演リストの元の場所] [目次]


第7回研究会 (平成6年11月17日(木), 18日(金),富山宇奈月温泉)
ファジィ推論とエキスパート・システム研究部会, 日本ファジィ学会北信越支部と合同で, 言いたい放題合宿合同ワークショップを開催.

「ファジィ推論とマムダニの含意」
中島 信之 (富山大学 経済学部)
ファジィ推論と数学上の推論について、整理しなおした発表。 「推論」がinferenceかreasoningなのか、複数ルールの同時発火の問題点などに ついてなど発表され、議論が行われた。

「あいまいデータをもとにしたファジィルールのチューニング手法」
加藤康記,小杉正貴,高木繁則 (インテック・システム研究所AI研究部)
ファジィデータの形式であらされた教示データにより、ファジィルールを チューニングする技法が発表された。初期のルールから始め、実際に推論を行い、 教示データとの推論誤差をもとに修正量を決め、学習していくものである。

「中央値・平均値・区間中央値の中間の評価」
高萩栄一郎 (専修大学)
ファジィ測度をショケ積分をもちいて、中央値と平均値の中間の評価を 行った、。中央値を境に、上部のデータと下部のデータに分け、それぞれ、 平均値と最小値の中間の評価を行い、2つあせてその評価とする。適用例 として、外れ値のあるデータの外れ値をできるだけ排除する総合評価を行 った。

「ファジィブロックを用いたプリント基板上の部品配置」
行松徹,古橋武,内川嘉樹 (名古屋大学工学部)
プリント基板上のメイン信号や主要部品を認識し、それをもとにブロックに 分割する。ブロック間の結合力をもとに各ブロックを基板上に配置していく 技法を発表した。

「あいまいさを伴う知識を有効利用可能なプランニングアーキーテクチャ」
愛須英之,稲垣泰弘,小野修一郎,杉江弘,畝見達夫 (LIFE)
ロボット等の制御のプランニングで、人間等に指示をし、その指示と異 なる結果になっても、そのロボットの制御のプランが失敗することなく、 制御を続けられる技法を示した。

「あいまい環境での高速かつ確実な強化学習アルゴリズムの検討」
小野修一郎,稲垣泰弘,愛須英之,畝見達夫 (LIFE)
記憶の大きさを制限している点に特徴がある強化学習法IRBL1に改良を 加え、収束型IBRL1法を提案し、ロボットナビゲーションに適用し、 その有効性を示した。

「ファジィ事例ベース推論機能とファジィ学習機能について」
井上敦,田野俊一,岡本渉,岩谷敏治,藤岡亮介 (LIFE)
ファジィ事例ベース推論を用いて、人間と対話しながら、学習していく システムを発表した。具体例として、ことわざから、その内容の知識を 獲得するシステムを示した。

「ベイズ理論を利用した基本確率割り当ての結合の一方法」
中島恭一,高木昇,松永均 (富山県立大学)
Bayes確率理論とDempster-Shafer確率理論のそれぞれの欠点を補う 1つの方法として、エキスパートには、Dempster-Shafer確率理論と 同様に「わからない」という回答を許す基本確率を割り当てを行い、 Bayesの定理を使って意見の統合を行う方法を提案した。

[講演リストの元の場所] [目次]


第8回研究会(平成7年2月18日,工学院大学)

「顔の印象を探る」
原島 博 (東大)
新しい学際領域としての顔に関する種々の研究が紹介された。 研究の方向には大きく分けて、合成と評価の二種類がある。 合成は、実際の顔画像を元に、怒っている表情や 笑っている表情を人工的に作り出したり、 複数の顔画像の平均などを演算する試み。 一方、評価は、実験などを通じて、与えられた顔画像から感情や心理状態を 判定する研究である。心理学、統計学、情報通信 と様々な観点からの考察が行われた。 発表には、色々な画像のOHP、ビデオ、写真、本などが持ち込まれ、 絶えず参加者の興味を引いていた。
配布資料: 原島 博, 顔, 表情, そして感情 ― 映像ロボット技術からのアプローチ ― , 日本機械学会誌,Vol.95, No.883 (1992) 503-507.

担当幹事 菊池 浩明(東海大学) 

原島研究室のホームページ には 顔ギャラリーなど ご研究の紹介があります.

1995年 3月に 日本顔学会 が発足しました.

「しきり人には誰がなる」
林 理 (東工大)
しきり行動に関する研究結果が紹介された。 しきり行動は、単一でなく、いくつもの類型がある。 この類型を、アンケートによるデータについて解析し、 「まあまあ型」「ゴリ押し型」など4つのパターンに分類した。 会場には、実際の判定項目リストが配られ、 参加者が自分でしきり度を計算できるようになっていた。 また、しきり行動の延長として、阪神大震災でのボランティア 活動についても言及された。

担当幹事 菊池 浩明(東海大学) 
林 理 「しきりの心理学 公式のリーダーと非公式のリーダー」 学陽書房 ¥1,800+税 (1998)
ISBN 4-313-81303-9

[講演リストの元の場所] [目次]

第9回研究会(平成7年7月1日,専修大学神田校舎)

テーマ「企業におけるユーザビリティ評価の実践」
「富士ゼロックス:FAX」
田丸 恵理子(富士ゼロックス システム・コミュニケーション研究所)
職場に導入されているFAXがリアルタイムタイプ (原稿を読み取ると同時にデータを送信する。 操作する人は送信が完了しないと原稿を持ち帰れない)から メモリタイプ(原稿を一旦メモリに保存した後データを送信するため、 すぐ原稿を持ち帰れる)に変更されたときの使い手の行動の変化や、 メモリタイプのFAXに対してのモデルについて生態学的な知見を踏まえ報告された。 メモリタイプのFAXはFAXの前にユーザを拘束する時間を短くする効果があるが、 読み込む量が多くなりメモリの残量が0になるとエラーだと思って、 止めようとするなど設計者が想定した使い方と異なる使い方をしていることが わかった。

「ソニー:アナログ時計つきラジカセ」
羽太 玲子(ソニー株式会社 プロダクツCS推進部 商品テストラボ)
アナログ時計付のラジカセのタイマー機能についてユーザにインタビューを 行った結果について報告された。 インタビューは日頃自分のラジカセのタイマー機能を使いこなしている人と 使いこなしていない人の両方の方に1週間新しいアナログ時計付のラジカセを 貸与して、1週間後に自宅を訪問して行っている。 インタビューの対象者はラジカセの想定購入者層である年配の方を選んでいる。 インタビューの結果より日頃タイマー機能を使いこなしている人には 使いやすい機械であることがわかったが、 日頃タイマー機能を使いこなしていない人は タイマーのモデルが構築されていないためか、 タイマー設定ボタンとラジカセの再生ボタンを押す順番を間違えるなどしてて、 うまく使えないとのことであった。

担当幹事 竹田 幸史(富士ゼロックス)  [講演リストの元の場所] [目次]


第10回研究会(平成7年9月9日(土),三菱総合研究所)

「推論における図形の役割  ― デバイスの挙動予測と幾何の証明を例に ― 」
元田 浩 ((株) 日立製作所基礎研究所)
(講演前に書いていただいた要旨)
我々人間にとって図形は非常に自然な知識表現である. 図に描かれた装置を見て容易にその挙動を推論できるし, 幾何の証明では必ず問題を図で表現する. このように人間にとって便利な知識表現も,今の所, 計算機にとっては扱いにくい. 図の持つ役割を計算機を用いた推論にも取り入れ, 認知的に整合性の良い推論が実現できないものであろうか. このような観点から題記副題の2つに関して実施した, 計算モデルの提案と認知実験による検証結果を紹介する.
関連文献:
諏訪 正樹,元田 浩, 初等幾何学の補助線問題におけるフラストレーションに基づく学習, 人工知能学会誌 vol.4, No.3 (1989) 308-320.
諏訪 正樹,元田 浩, 認知的方略 (perceptual-chunks) の学習 ― 学習プロセスの視覚的制御 ― , 人工知能学会誌 vol.9, No.4 (1994) 548-558.
N.H. Narayanan, M. Suwa, and H. Motoda, A study on diagrammatic reasoning from verbal and gestural data, Proc. of the sixteenth Annual Conference of the Cognitive Science Society, 652-657 (1994).
N.H. Narayanan, M. Suwa, and H. Motoda, Qualitative behavior hypothesis from device diagrams, Working Papers of the eighth International Workshop on Qualitative Reasoning about Physical Systems, 197-204 (1994).
N.H. Narayanan, M. Suwa, and H. Motoda, Diagram-based problem solving: the case of an impossible problem, Proc. of the seventeenth Annual Conference of the Cognitive Science Society, 206-211 (1995).

「『公理的測定論』について」
吉野 諒三 (文部省統計数理研究所)
(講演前に書いていただいた要旨)
「測定」は科学の基礎である。 しかし、人文社会科学、特に心理学の分野においては、 そもそも科学的に意味のある測定など可能なのかという議論の 展開された歴史もあった。 それを受けて、過去数十年にわたって数理心理学者の手によって 公理的(抽象的)測定理論の基礎が創られてきた。 今回は、これに関しての歴史といくつかのトピックを 簡単にお話ししたいと思います。
配布資料: 吉野 諒三,公理的測定論の歴史と展望, 心理学評論,vol.32, no.2 (1989) 119-135.

担当幹事 鷲尾 隆(三菱総合研究所)  [講演リストの元の場所目次]


第11回研究会(平成8年7月13日(土),工学院大学)
「ネットワーク組織としてのSMAP ― 現代アイドル工学 '96」
稲増 龍夫(法政大学)
I. スターシステムからアイドルシステムへ 〜TV文 化の「脱神話作用」,II. 光GENJI型組織からSMAP型 組織 〜ネットワーク人間論 の2部構成であった.
I. では,アイドルを通して80年代の社会/文化の変 化が述べられた.そこでは,スターを作り出し神話を 構築した映画に対して,神話を解体するメディアとし てのテレビが浮き彫りにされた.そしてテレビを通し て作り手と裏を読む受け手が共犯になり,虚構として のアイドルを作るシステムが構築されたことが,「お ニャン子クラブ」や実体のないアイドル「芳賀ゆい」 を例に説明された (詳細は下記資料参照).
II.では,光GENJIとSMAPの対比によって,高度経済 成長期の組織型であるヒエラルキーと,これからのダ イナミックな組織型であるネットワークが説明された. また,SMAPでアイドルに初めて目覚める30代女性の多 いことについても言及,分析された.
出席者には若者(特に女性)が多く質疑応答も活発で, また稲増先生のビデオ上映も交えたお話も楽しく,非 常に盛り上がった講演会であった.しかし,残念なが ら会場には学会員がほとんど見られなかった.今後 SOFT学会員には,このような講演会に足を運ぶような, より一層の頭の柔らかさを期待したい.
参考資料:稲増龍夫「増補アイドル工学」ちくま文庫

担当幹事 椎塚久雄,室伏俊明  [講演リストの元の場所目次]


第12回研究会(平成8年9月14日(土),清水建設(株)和泉研究室)
「建設におけるリスク評価  ― 地震リスクマネジメント手法を中心にして ―」
水谷 守 (篠塚研究所)
     (1999年11月1日より (株) Modern Engineering & Design) mmiz @pop21.odn.ne.jp
まず,リスクを「どうなるか決定できないが起きたら困るもの」と定義し, リスク=Σ発生確率×結果の重大性(結果の期待値)で評価されるとした。 次いで,地震リスクマネジメントの手順が説明された: 最初に,シナリオ地震によって地震の大きさを想定し発生イベントを決定する。 このもとにイベントツリーを構築し被害モードとその発生確率を算定する。 また,損失効用を損失貨幣価値の線型換算によって評価する。 以上より,リスクを,先の定義式に基づき,発生確率による期待損失として評価する。 最後に,本手法の有効性が幾つかの実例で示された: まず,工場の継続か改築かの意思決定問題においてリスクと 改築費用からなる累積トータルコストの経年比較が意思決定情報として提供された。 さらに,状態変化をマルコフ過程とした高速道路の補修に対して, 累積トータルコストにより損失コストが算定され最適な点検間隔の探索に用いられた。 地震リスクマネジメントに対して, 信頼性解析と意思決定論の基礎的知識を用いて一手法を構築した意味は 極めて大きいと考えられる。
担当幹事 松下裕(清水建設)
関連文献: 水谷氏による篠塚研究所の紹介が、 TECH B-ing 96年2月号の特集「日本を変えるネオ・テクノベンチャー」(p.79)に 掲載されています。

[講演リストの元の場所目次]


第13回研究会(平成9年1月25日(土),専修大学神田校舎)
「コンジョイント分析の理論と応用 :『商品企画七つ道具』より 」
岡本 眞一 (東京情報大学)
 消費者が商品の好き嫌いを判断するプロセスを検討する場合、 その商品の価値を決定する多数の属性の中から、どのような特性に注目して、 どのような水準を望ましいと感じているかを把握することが重要である。 これによって、新しい商品を企画する場合にも、より適切な判断が可能になる。
 このような検討の際に用いられる手法がコンジョイント分析であり、「商品企画七つ道具」の一つとして取り上げて、同名著作の中で紹介されている。
 本講演の前半では、「商品企画七つ道具」の紹介に続き、 どちらかといえば古典的ともいえる標準的なコンジョイント分析の理論について 平易に解説された。 講演の後半では、より新しいコンジョイント分析に関する問題やその応用について 14頁にも及ぶ書き下ろしの詳細な講演資料に基づき解説された。
担当幹事 長沢伸也(立命館大学)

配布資料
岡本眞一,コンジョイント分析の理論と応用 ― 「商品企画七つ道具」より ―, 日本ファジィ学会,第13回評価問題研究部会資料 p.14.

参考文献
飯塚悦功監修,神田範明編著「商品企画七つ道具」 日科技連 (1996) ISBN 4-8171-0287-X
岡本眞一,コンジョイント分析,品質管理,vol.45, pp.1047-1055 (1994).

 上記講演とは直接の関係はありませんが, 魅力工学サイバーラボラトリより, WWWによるConjoint Analysisの調査法についてのサイトを ご紹介いただきましたので,掲載いたします.
ガソリンスタンドの魅力度調査 (魅力工学サイバーラボラトリ)
Conjoint Analysis of Consumer Behavior (University of Pittsburgh)

コンジョイント分析の解説が web 上で読めます.
ご講演時に書き下ろされた配布資料が参考文献の一つとして引用されています.

千葉佐智子,岩本俊彦,岡本眞一 「コンジョイント分析について
東京情報大学研究論集 Vol.1 No.2 (1997.11) pp.137-154

下記の岡本先生の著書が出版されました (1999年 3月10日).
ご講演時に書き下ろされた配布資料が参考文献の一つとして引用されています.

岡本眞一「コンジョイント分析」ナカニシヤ出版 ¥2,000+税
ISBN 4-88848-486-4
[講演リストの元の場所目次]

第14回研究会 (平成9年7月12日(土),専修大学神田校舎)
「平均値の意味と構造」
柳井 浩(慶応義塾大学工学部管理工学科)
参考資料:
柳井浩,平均値の意味と構造 I, II, オペレーションズ・リサーチ, 1997年3月号 pp.37-42, 4月号 pp.46-50.

「ファジィ理論における平均演算」
高萩栄一郎(専修大学商学部)


第15回研究会(平成9年11月29日(土),専修大学神田校舎)
「消費者の選択行動の確率モデル ― 非補償型意思決定モデルを中心に ― 」
濱岡 豊(慶應義塾大学 商学部)
参考資料:
濱岡豊,古川一郎,方平秀貴 「非補償型(最尤満足化)モデルによる広告への態度の分析」 日経広告研究所報,174号 (Aug.-Sep.) pp.18-23.

「ラダリング調査による消費者研究の現状」
丸岡 吉人((株)電通 マーケティング統括局)

[講演リストの元の場所目次]


評価問題研究部会のホームページ
収録事項の誤りや ご意見などがございましたら, 下記までお知らせ下さい.
eval-webmaster @fz.dis.titech.ac.jp